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ストレス

先日アンダーザツリー展の会場で精神科医の香山リカさんとお話をする機会がありました。今の日本人は頑張り過ぎと言う話になり、「朝は4時に起きて英語の単語を毎日5個は覚えましょう!」と言う様なアドバイスをしている人もいると香山さんから聞きびっくり。「金持ちになる方法」「頭が良くなる方法」「美しくなる方法」「健康になる方法」と言ったハウツーものがどれだけ今日本で出版されているか。必ず道は開けます!今は我慢の時と自分自身を叱咤激励し頑張っても、目的が達成出来ないとそんな自分を「負け組」と感じしストレスを抱え精神科に来院してくる人の数が増えている、これも香山さんの話です。

早起きして5個の英語の単語を暗記し、資格を取ることが必要な人もいるでしょう、それ自体悪い事とは一概には言えませんが、その能力を持ち合わせていない人たちもあたかも「こうするともっと良くなる!」=「もっと幸せになれる」と踊らされているとしたらそれは「時間泥棒」と言う気がします。その時間をもっと楽しく有意義に使う事が出来るはずです。
自分の能力とその限界を知り、はっきりとした目的を見据えての努力の結果手に入れる「高学歴=キャリアー=高収入」がその人を満足させ幸せと感じ、素敵な人間に成長してくれれば良いのですが、そこに到達した人の多くはまたその上を目指し、その間に多くの「優しさ」を失い最終的には「こんなはずではなかったのに」と疲れ、ストレスを抱えてしまいます。日本の社会も同じです。

物事を教科書や本から暗記するのではなく、自分の頭でしっかり考える訓練を子どもの時からするべきです。成績表で評価する勉強から、子どもの柔軟な思考を他人と比べずに伸ばす教育が理想です。個々の親がどのような子に育ってほしいか、どのような社会になってほしいのか、はっきりしたヴィジョンを持って子どもの教育をするべきだと思います。他人と同じである必要もないし、比べる必要もない、子ども一人一人が親から褒められ愛され守られていると自覚することが出来、子どもたちが「自信」を持つ事がまずは大事です。バーンロムサイの30人の子どもを見ていると、みんな何か得意な事、好きな事、上手な事を持っているので、それを褒めてやることが「自信」に繋がって行きます。出来ない事を叱るより褒められる事が大きなエネルギーとなります。そして子どもの時はみんなで思いっきり体を使い遊ぶ事が何と言っても大切です。

戦後日本人が言い始めた妙な「平等」が色々な所で足を引っ張っているのも事実です。人は「平等」でありえないのですから「公平」であろうと最大限の努力はすべきです。持てる者(先進国、健常者、裕福な人、色々な意味で余裕のある人)が持てない者(開発途上国、障害者、まずしい人、困難な状況にある人)に手を差し伸べると言う事が当たり前に出来る社会になれれば多くの事が解決できるはずです。何度も書いていますが「分相応」「身の丈に合った」生き方をしていればストレスも少ないはずです。

年間自殺者3万人の今の日本はやはり異常です。


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             不思議な小さな羽虫                           不思議な蜂の巣

名取 美和|2010/01/20 (水)

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