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この男・・・

タン.jpg先週末空き缶を使って何やら熱心に作っていたタン。接着がうまくいかず、何度も何度もやり直し、彼が作りたいと思っているものに向かってまっしぐら。あきらめない。ただのロボットではなく、どうも貯金箱にもなるらしい。お金がたまったらどうやって出すの?と聞くと、困ったような顔をしてしまった。

タンは来年中学1年生だ。小さい頃からの彼を知っている人にはタンが中学生になるというあたりまえのことも、結構驚きかもしれない。相変わらず良く食べ、頑固で、良い意味でも悪い意味でもまっすぐで、そして案外繊細なのだ。今はサッカーに夢中で、骨太の体を活かしかなり上達したらしい。間違っていようが、的がはずれていようが、子ども会議などで手をまっすぐあげ、自分の意見を皆の前で言うタン。それはとても大切なこと。

毎日何かあった時のために、子どもたちは夜7時の薬を各自携帯して学校へ行く。そして帰ってきたらそれを保母さんに渡して夜7時に飲むというのが習慣になっている。その薬をタンはなくしてしまった。先日の子ども会議で薬の大切さ、そして幸いにも体にあった良い薬を飲むことができ、その薬は普通に購入するととても高価なものだから、なくすということは本当にダメ!!!と、ウェウ先生からさんざん説教された後、罰金5000バーツと言われたタン。検査代も含めそれだけHIVウィルスを抑えるためには、お金がかかり、たくさんの人から支えられているのだということを伝えたかった故の金額なのだが、タンは「罰金」という言葉には鋭く反応したものの、5000バーツという金額はまったく彼の理解の範疇を超えていた。おそらくタンにわかるお金の価値は、今のところ100バーツ位までなので、ともかく呆然・・というタンの顔に大人たちは苦笑するしかなかった。                                                                                                    
来月には12歳、10年後は22歳。いったいどんな彼女ができて、どんな仕事をして、どんな青年になっているのだろう。この男、目がはなせない。                       
                                                                                                          
                                                                   

麻生 賀津子|2009/11/27 (金)

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