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「さんたの家」訪問


チェンマイ郊外にある施設、「さんたの家」へ訪問に行きました。ここにはエイズで両親を失った子ども、経済的に子どもを養育出来ない家庭の子、そして親の離婚や、服役中などの事情から一緒に生活出来ない子どもたち、幼稚園から中学生までの16人が生活している施設です。現在いる子どもたち全員が山岳民族の出身、同じく山岳民族出身の若い女性3名が、職員として働いています。バーンロムサイの子どものようにHIVに感染している子どもはいません。


この施設を開設した吉田 登さんにお会いし、施設を立ち上げるまでのご苦労、子どもたちが来てからの大変さについて色々とお話をお伺いすることが出来ました。もともと日本で会社を経営されながらずっとボランティア活動を続け、東南アジアなどの国々で学校建設や井戸の設置などに関わってこられた吉田さんが2003年に始めた「さんたの家」、熱のこもったお話をお聞きしていると、「さんたの家」にかける思いや信念が伝わってきます。


「この子たちはいずれ山に戻りそこで生きてゆくのだから、その時にちゃんとした生活が出来るよう、ここで正しい知識やマナーをしっかりと身につけて欲しい」と語る吉田さんの語り口に、子どもたちに対するゆるぎのない教育方針と、敬虔なクリスチャンでもある吉田さんの愛情を感じます。ここを卒業して山の村へ戻った子どもはまだいないとのことですが、通学の他、食事もすべて職員1名と年長の子ども2名で作り、掃除や勉強の時間などに忙しくきちんと毎日を送る子どもたち、良い生活習慣が身についてゆくことと思いました。私達が訪問したのはちょうど日曜の夕方だったので、子どもたちは週に一回のテレビの時間を楽しんでいました。


実際にお話をお聞きしてショックだったことは、依然として山岳民族の人達の間に残る麻薬の問題の根深さです。私達が会った子どもたちのうち3人の親が、麻薬がらみの犯罪に関わり服役中、しかも終身刑の親もいるとのこと。少し前まで「麻薬地帯」と呼ばれていた北タイの山岳地方では、住民がアヘンの原料となるケシの栽培などで生計をたてていたそうですが、最近は国王の指導のもとロイヤルプロジェクトが展開、代替作物であるコーヒーや野菜などの栽培が定着してきたと聞いていました。しかし実際には、まだ麻薬の原料となる植物の栽培や取引が続き、想像している以上に多くの人達がまだその世界に関わっているということです。子どもたちの中には、親が麻薬の収入によって建てた立派な家に住んでいるのに関わらず、麻薬中毒や服役中のため子どもをちゃんと育てる事が出来ず、ここに連れて来られる子どもがいるそうです。

「ここに来た事情を子どもたちは知っているのですか?」とお尋ねしたところ、それについては職員の女性が、彼らの使う言葉で解りやすく子どもたちに語り、理解させるのだそうです。そしてちゃんと理解せずにここでの生活を送る事は場合によって難しく、村にいる親戚の家へ帰った子もかつてはいたとのこと。「勿論、親や親戚と住むことがその子にとって一番幸せなことかもしれないと解っていても、時にはそればかりではない、と判断してしまう時もあります」という吉田さんの言葉から、北タイの抱える一筋縄では解決しないこの問題の根深さ、そのような人々を助けようとすることの困難さが伝わってきました。

お話をお聞きし、バーンロムサイの子どもたちも含めこのような施設で暮らす子どもたちが、そこでの生活を良いチャンスと捉え、少しでも自立した(きちんとした)生活を送る基礎を作り、自分に適した生き方を見つけられれば、、、とあらためて思いました。そこにいるすべての子どもが、そこの環境にあっているかどうか、合わない子どももいるのかもしれませんし、遠い過去の自分を振り返っても、いつの時代もおかれた環境にポジティブであったとは決して思えませんが、、、、、
少なくとも貧困、虐待、差別、無知、放置などから守られた環境の中で、自分の将来に繋がる何かを見つけてゆく、その力を自ら育ててほしい、、、と願う気持ちになりました。

吉田さん、とても貴重なお話をどうもありがとうございました。


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「さんたの家」のあるサンカンペーンの街道

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大阪 髙島屋大阪店 展示販売のお知らせ


髙島屋大阪店6F生活雑貨ショップ「マピエス」リニューアルオープンに合わせ、
マピエス一角でのバーンロムサイのオリジナル商品、子どもの絵を使った商品、
山岳民族の古布を使った商品をはじめ着心地の良い春物の衣類の展示販売をいたします。
お近くの皆様、是非お立ち寄りください。


期間: 2011年3月3日(木)~3月15日(火)
時間: 10:00~20:00
場所: 髙島屋大阪店 6階 マ ピエス
住所: 大阪府大阪市中央区難波5-1-5
TEL: 06-6631-1140

佐藤 くみ|2011/03/07 (月)

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