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トマト・ファームを見学して

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トマト・ファームのトマト


10年後の2020年、世界に食糧危機がやって来ると言われています。人口の増加に穀物の生産が追いつかない。主食となる米、小麦粉、トウモロコシや芋が開発途上国に行き渡らない。今すでに世界の人口の3分の1の人たちは満足に食事が出来ていないと言う現実を考えると、これは大事件です!私たちの周りには食品があふれており多くの日本人は「危機感」を持っていないと思います。

そのような中、日本で捨てられている食糧は膨大!
原材料を輸入し、これまた輸入された化石燃料を使用し食料品に加工し、結果年間2000万トン近くが残飯として捨てられ、化石燃料を使い焼却しているとは何とも嘆かわし話。2000万トンのうち結婚式の披露宴と言ったパーティー、外食産業から出る残飯、コンビニでの賞味期限の切れたお弁当等だけで700万トンあるそうです!量で言うと一年間に世界食糧機構が災害にあった国や食糧難の国々に支援する食料の70%に当たる量の食料が日本で捨てられている計算になります。

以前からバーンロムサイのプロジェクトの一つに「農業」を取り入れたいと漠然と考えていました。子どもたちも農作業を身近で体験していれば、それをやりたいと思う子どもが一人や二人は出てくるでしょうし、社会に出て仕事をすることが難しい子どもたちにもその能力に見合った仕事が「農業」と言う場ではあるはずです。そしてこの村の貧しい人たちにも雇用の場を提供する事が出来るようになります。


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村の人たちが働いている


ついこの間までチェンマイで手に入るトマトは固く、香りが少ない小ぶりなものがほとんどでしたが、この1年ほどスーパーの店頭に肉厚のトマトや美味しいチェリートマトが並び始めました。「誰がどこで作っているのかなぁ」と思っていたところ、その生産者とスタッフの麻生が偶然知り合い、渡りに船と先週末そのトマト・ファームを見学させてもらいました。チェンマイ市内から北へ30キロ、海抜700メートルのその村にあるトマト農園は今まで私が見て来た農家とは全く違うものでした。面積8000平米の土地に1万8千株のトマトが肥料、水量を管理されたビニールハウスの中で、土を使わず水耕栽培されていました。生産技術者はオランダ人、種もオランダから輸入し、地下30メーターから汲み出した水を使い、害虫を寄せ付けない管理を徹底、その結果農薬を一切使うことなくトマトが栽培されていました。


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無菌に状態で近い育てられているトマト


土を使わない野菜、、、馴染みがなくこれでいいのかなぁと思う部分もありましたが、これからの農業は生産性を上げて行かないと需要に追い付かない事を考えると、この様な農法を取り入れざるを得ないのが現実。すでに日本をはじめ多くの国で農業に全く関係のない商社や企業が「野菜生産工場」を始めているようですし、自国の食料を確保する為にアフリカ、オーストラリア、ロシア等に広大な土地を買い占め穀物の生産を始めている国もあります。また全く水の無い砂漠で農産物を作れる「コンテナ」が日本で開発され、そこでは空気から水を作り農作物を育てると言う話も聞きました。サウジアラビアはそのようなコンテナを40台も購入したようです。しかしこの「コンテナ」の価格は1台4000万円!経済的に豊かな国でしか実現できない話です。

私たちが見学した「トマト工場」が成り立っているのは地下水が豊富にある事が必要欠かさざる絶対的な条件。水の少ない地域では出来ません。水の豊かな日本の水耕栽培は大変進んでおり、私たちが見たこのトマト工場の3倍のスピードで作物が収穫出来る技術があるそうです。この写真のトマトは生後7カ月ですが日本の技術を持ってすればこの状態に達するのに2ヶ月強しかかからないと言う事!驚きです。


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生後(?)7ヶ月のトマトの木


チェンマイでこのような美味しいトマトを生産しても、トマト自体比較的新しい野菜である事、またトマトを使ったタイ料理自体も数少なく地元での購買力が弱い為、これらのトマトは今のところ首都バンコク、そしてシンガポールと香港へ輸出しているそうです。

実際バーンロムサイのプロジェクトとして「農業」を始めるとして、どこから手をつけて良いのか分からないので、自分たちの為の小さな畑を作るところから始める事にし、まずは二畝の畑に空心菜とトウガラシ、インゲンの種でも蒔く事にします。


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最初の小さな小さな一歩です


さあ1年後、そして3年後、、、5年後バーンロムサイ農業プロジェクトがどうなるか!お楽しみに!!

名取 美和|2010/03/10 (水)

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